File 14. MANTIS(マンティス)
自分の色を守る強力メンター
- 誰にも染まらないが、理解されないことが怖い海獣 -
01. 海獣基本情報 / Creature Data
海獣名:MANTIS(マンティス)
分類:ハナシャコ型ごくさいモンスター
モデル魚:モンハナシャコ(学名 Odontodactylus scyllarus)
目撃地:コンゴ共和国・ブラザヴィルの仕立て屋街
心の煩悩:自己表現への執着
02. ステータス / Status
こうげき力 / ATK — 95
まほう力 / MATK — 20
ゆうわく力 / CHARM — 80
やみレベル / DARK LEVEL — Lv50
ひっさつワザ / Ultimate Skill
『キープ・ユア・カラーズ』: その一撃を受けた者は、他人の評価を気にせず、派手な極彩色の服を着て一生を過ごす事になるという。
03. 海獣生態と心 / Ecology & Psyche
MANTIS(マンティス)は、世界に存在するあらゆる色を身にまとう海獣である。
彼の身体には、燃えるような赤、深い海の青、毒々しい緑、そして金属のように輝く紫が入り乱れている。
その色彩は一瞬たりとも同じ姿に留まらない。
MANTISが歩けば、周囲の景色まで鮮やかに見え始める。彼の姿を見た者は、それまで隠していた自分自身の色を表に出したくなるという。
しかし、この魔法には奇妙な副作用がある。
MANTIS自身は、誰かと同じ色になることを何よりも恐れているのだ。
- 色彩をまとう仕立て屋 -
MANTISが目撃されるのは、コンゴ共和国の首都ブラザヴィル。
どこからたどり着いたかは不明だが、陽射しの強い通りにある、小さな仕立て屋に棲みついている。
ハナシャコとして生きているが人間の言葉を話し、店主にあーだこーだアドバイスをしている。
色の組み合わせには並外れた才能があり、客の姿をひと目見るだけで、その者が心の奥に隠している色を見抜く。
内気な者には燃えるような赤を。
虚勢を張る者には静かな青を。
悲しみを隠す者には、思いもよらない鮮やかな黄色を。
MANTISの仕立てる服は、客が本当は着てみたかった服なのである。
彼は陽気で、おしゃべりで、少々大げさ。
自分の色彩感覚には絶対の自信を持っている。
- 一撃で世界を塗り替える -
MANTISの前脚には、恐るべき破壊力が秘められている。
普段は優雅に服を仕立てているが、自分の色を否定された瞬間、その前脚を猛烈な速度で振り抜く。
彼の必殺技『キープ・ユア・カラーズ』は、周囲の色彩を一瞬で弾き飛ばし、すべてを極彩色に染め上げる。
その一撃を受けた者は、他人の評価を気にせず、自分の好きな姿で生きたいという衝動に駆られる。
だが、MANTISは知らない。
誰もが鮮やかな色を望んでいるわけではないことを。
静かな灰色を好む者もいる。
誰かと同じ色をまとうことに、安心を感じる者もいる。
それもまた、その人自身の色なのである。
- 自分らしさという名の檻 -
MANTISは、他人に合わせて自分を変えることを嫌う。
周囲が黒を着れば、彼は赤を着る。
誰もが赤を着始めれば、今度は青を選ぶ。
そうしているうちに、彼は気づかぬまま、他人と違うことそのものに執着するようになっていた。
誰とも同じでないこと。
誰にも真似されないこと。
誰よりも鮮やかであること。
それらを守ろうとするほど、彼は周囲の目から自由になれなくなっていく。
自分らしくありたいという欲望が、自分らしさを縛りつけてしまう。
MANTISの心に潜む煩悩は、この矛盾である。
それでも彼は、今日も新しい服を仕立てている。
いつか、誰かと同じ色を着ても、自分が自分でなくなるわけではないと気づく日が来るのだろうか。
04. モデル『モンハナシャコ』とは? / What Is a Peacock Mantis Shrimp?
モンハナシャコ(Odontodactylus scyllarus)は、インド洋から西太平洋の熱帯海域に生息するシャコの仲間である。
鮮やかな緑や青、赤などをまとった身体が特徴で、英語では「Peacock Mantis Shrimp」と呼ばれる。
シャコは名前にエビが付くこともあるが、一般的なエビやカニとは異なる口脚目に分類される甲殻類だ。
- ハナシャコの拳はなぜ強いのか? -
ハナシャコは、非常に強力な捕脚を持っている。
その先端を高速で打ち出し、貝やカニなどの硬い殻を破壊して捕食する。
この打撃は水中に急激な圧力変化を生み、水族館のガラスケース割ることもある。
MANTISの必殺技は、この驚異的な打撃能力から着想を得ている。
- ハナシャコにはどんな色が見えているのか? -
ハナシャコの眼は、動物の中でも特に複雑な視覚システムを持つことで知られている。
人間とは異なる多数の光受容器を備え、紫外線や光の偏光を感知する能力を持っている。
ただし、光受容器の種類が多いからといって、人間より細かく色を見分けられるとは限らない。
研究では、ハナシャコが独特の方法で色を識別していることが示されている。
MANTISの極彩色の身体と、他人の隠された色を見抜く能力は、この特殊な視覚から生まれた創作である。
05. MANTISに何を想う?
彼が最後に選ぶ色は、
誰とも違う特別な色ではなく、
誰かと同じでも、自分自身でいられる色なのかもしれない。
Art & Story by KAMBA
※海獣の能力・人格・物語は創作です。ハナシャコの生態に関する記述は実在の生物をもとにしています。