貧乏神と福の神 (左: 福の神)
この作品は縦58cm✖️横45cmの作品を2枚組合わせた日本画作品となります。
⚫︎コンセプト
幕末の絵師月岡芳年を参考に、線画とシンプルな彩色を組み合わせた浮世絵の世界観を現代的解釈で表現しています。画面構成は左に福の神(人生を達観した人)、右に貧乏神(煩悩にもがく人)を配置し、更に絵の中に6つのアイテムを登場させることで人間の心に潜む悟りと煩悩を対比させています。
6つのアイテムの紹介
1. 波:人生のメタファー。福の神は人生の波に乗り自在にバランスを取っているが、貧乏神は波に乗れず地に足がついていない。
2. 網:煩悩のメタファー。貧乏神の髪に絡まっている網は俗世の欲や煩悩にまみれて生きる人間の苦悩を表している。
3. 魚:目標、成功のメタファー。貧乏神は必死に大きな魚を掴んでいるが、その手は魚に食い込み、魚はもがき苦しんでいる。対して福の神は魚を手放しているにも関わらず、魚の方が福の神に寄って来ている。
4. 雲:環境のメタファー。自分の周囲の環境要因(周りの人や住んでいる状況など)としての雲を自在に操る福の神と、外的要因から見放され荒れ模様の貧乏神。
5.帽子: 自我のメタファー。帽子を被り自我を捨てきれない貧乏神と自我を今にも捨て去ろうとしている福の神。また帽子は、古典風の作品に現代感を持たせるモチーフとしても活用。
6. ハートマーク:慈悲のメタファー。 福の神の着物にはハートマークが現れており、彼が慈悲の心に満ちていることを象徴しているのに対し、貧乏神は自分事に精一杯で慈悲の心が欠けている故、着物は無地のままである。
⚫︎素材、支持体、技法
支持体となる和紙は薄いこうぞ紙を使用し、骨描きを表彩色、着色を裏彩色ベースで描くことにより線画の特徴を活かす工夫をしています。また貧乏神の方には定価200円の少し黄色味がかった和紙を、福の神の方には定価2000円の上質な白地の和紙を使用することで、数百年後にこの絵を見た際に、福の神の保存状態の方が良くなる様な効果を狙っています。骨描きに使用した墨は、人や着物には油煙墨を使い艶を出し、波や雲、背景には松煙墨を使うことで薄墨の青の美しさを出すよう工夫しています。