AMORA(アモラ)

AMORA_チョウチンアンコウの海獣_浮世絵UKIYOE

『心の渇きを癒す甘い口』

—愛を求める人々を飲み込む海獣—


海獣基本情報 / Creature Data

海獣名: AMORA(アモラ) /
分類: チョウチンアンコウ型スイコミモンスター
モデル魚: チョウチンアンコウ (学名 Himantolophus sagamius)
目撃地: NYCのブロードウェイ周辺
心の煩悩: 愛染

作品コンセプト / Concept

愛されたいのか。愛したいのか。それとも、誰かの一部になりたいのか。
『AMORA』は、深海に棲むチョウチンアンコウの生態と、仏教における愛欲の概念を重ね合わせ、人間の愛と執着を描いた現代浮世絵作品である。

画面中央には、巨大な口を開けた赤い海獣AMORAが鎮座している。
その頭上には、甘美な光を放つ小さな疑似餌「Sugar」が揺れている。
光に魅せられた男女は、自らの意思でAMORAの口へと近づき、色鮮やかな泡の中へと溶け込んでいく。
AMORAは彼らを追いかけない。
ただ、口を開けて待っているだけである。

深海に棲むチョウチンアンコウは、発光器を利用して獲物を誘い寄せる。
また、一部の深海性アンコウでは、オスがメスの身体に結合し、組織や血管がつながることで、メスと一体化して生き続けるという特異な繁殖様式が知られている。

この生態は、人間の愛情と依存の関係を考えるうえで、奇妙な示唆を与える。
愛する者と一つになりたい。
相手を失いたくない。
自分だけを見ていてほしい。

その願いは、どこまでが愛であり、どこからが執着なのだろうか。

本作では、深海魚の捕食と繁殖という二つの生態を、人間の愛欲を映し出す寓話へと変換している。
AMORAは、愛を与える神でも、愛を奪う悪魔でもない。
人間の欲望を否定することなく、ただ受け入れる存在として描かれている。

素材・支持体・技法 / Materials & Techniques

本作は、日本画の伝統的な画材と、薄い和紙を重ね合わせるコラージュ技法によって制作した現代浮世絵である。

▪️素材 / Materials
- 顔彩(Gansai)
- 水干絵具(Suihi pigments)
- ソフトパステル(Soft pastels)
- 墨(Sumi ink)

▪️支持体 / Support

溝田和 — 福岡県八女市 (Mizota Washi — Yame, Fukuoka, Japan0

▪️技法 / Technique
継ぎ紙コラージュ(Layered Washi Collage)

薄い楮(こうぞ)紙を何枚も重ね合わせ、異なる形態や色彩を組み合わせながら、一つの画面を構築している。
一般的な日本画のように一枚の支持体へ直接描き進めるのではなく、個々の要素を描き、切り出し、重ねることで、版画を組み立てるように作品を制作した。
この技法によって、魚の身体、人間、泡、異形の存在といった異なるモチーフが、一つの生命体のように結びついていく。
また、顔彩や水干絵具の柔らかな色彩に、ソフトパステルの質感と墨の線描を組み合わせることで、伝統的な浮世絵の造形と、現代的な色彩表現の融合を試みている。
本作のコラージュは、単に異なる素材を組み合わせるための技法ではない。
本来は別々の存在であるものが、重なり合い、境界を失いながら、新しい一つの姿を形成していく。
その制作過程自体が、AMORAの主題である愛と融合、そして自我の変容に重なっている

KAMBA

KAMBA (芳波)
Artist / Fisherman / Storymaker

KAMBA is a Japanese artist whose practice weaves marine life, Buddhist philosophy, and psychological archetypes into a unified visual language.
Born into a fourth-generation fishing family and raised by the sea, he grew up witnessing the rhythms of marine creatures at intimate proximity. These early experiences form the living core of his work.

After traveling through more than forty countries, he came to view the ocean as a mirror of the human mind—ever-changing, impermanent, and shaped by countless relations.
His artwork transforms fish into embodiments of the 108 Buddhist afflictions, revealing emotions as drifting forms shaped by the tides of experience.

Through the lens of the sea, KAMBA explores the fluidity of identity, the tension between instinct and consciousness, and the fragile beauty of beings who must adapt to survive.
His practice stands at the intersection of nature, spirituality, and contemporary character-based storytelling, creating a world where each creature carries a fragment of the human psyche.

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貧乏神と福の神 (左: 福の神)